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なぜこんな静かな場所で? 夏の前に知ってほしい 水辺で事故続発の恐怖【噂の!東京マガジン「噂の現場」】

今回は、夏に向けぜひ知っていただきたい「水難事故の恐怖」。
大きな波もなく危険には見えない、一見おだやかな「ため池」や「人工の海岸」で、なぜ悲惨な事故が続いているのか。
万が一落ちてしまった時は?
また、事前に行うべき対策は?
くわしく取材しました。

年間30件前後の死亡事故。なぜ静かな「ため池」で助からないのか。

ため池とは、周辺に河川がなく降水量に恵まれない地域に作られた池で、
全国各地におよそ16万カ所もあります。
海と違って波もなく一見のどかな場所。
ところがため池に転落して亡くなってしまう事故は、毎年20から30件ほど起きています。
水難事故の調査・研究を行っている専門機関、水難学会の実験映像を見ると…、ため池はすり鉢状になっており、へりの部分が上から見るよりも実際の角度が急で、水深も深くなっています。
また誤って落ちた後、自力で這い上がろうとしても角度が急な上に、コケなどですべりやすくなっていて大人でも岸に上がることができません。
実験映像では、現役の水難救助隊員も自力ではあがることができませんでした。
去年5月には、溺れた息子を助けようと父親がため池に飛び込み、2人とも亡くなってしまう痛ましい事故が起きています。
また遮水のためゴム製のシートが使われているため池は、靴がすべりいっそう上がりくいといいます。
水難学会は、誤って落ちた場合は背中を下にする「背浮き」をして救助を待つこと、落ちた人を見つけた時は自分も入って救助しようとせず119番通報するべきとしています。
また、掴んで上がってこられるネットの設置を推奨しています。

遊泳禁止の人工の海水浴場。4年連続で10代の若者が亡くなっている理由。

ZOZOマリンスタジアムの裏手におよそ1300mの砂浜が続く人口のビーチ、
千葉市の「幕張の浜」。
地元の人が憩いに訪れる、一見のどかな雰囲気の人気スポットですが…、実はこの浜では4年連続して10代の男性が亡くなる痛ましい事故が相次いでい
ます。
事故が起きた場所はいずれも砂の浸食を防ぐために造られた「突堤」付近。
なぜこの突堤付近で事故が多発しているのか?
まず理由の一つが「予想外の深さ」。
飛び込んだ時、水中で身体が不安定になり流され、溺れる危険性が高まります。
もう一つの理由が「干渉波」。
干渉波とは、沖から砂浜に向かう波や突堤から跳ね返ってくる波などが
合わさってできる複雑な波のこと。
大小さまざまな波が覆いかぶさってくるため呼吸ができなくなるといいます。
幕張の浜は、かつては海水浴場として賑わったものの、砂浜の維持管理の費用の問題などで2000年以降は遊泳が禁止になりました。
その後、砂をならす作業をしなくなったため水深にムラのある海岸になりました。
砂浜を管理する千葉県港湾局は、突堤への侵入防止の柵や遊泳禁止の看板を設置するようになったものの…未だ、その危険性を認識している方は少なくない状況のようです。

行政のさらなる周知を。「おだやかな水面」 と隣り合わせの「死の危険」。

 一見おだやかでも、実は死と隣り合わせの危険が潜んでいる「ため池」や「人口の海岸」。
ため池の所有者や行政は、万が一、池に人が落ちてしまった場合に備え、陸に上がってこられるネットなどの対策を早急に、可能な限り設置してほしいと思います。
そして、遊泳禁止と掲げられている「幕張の浜」。
こちらでは命を守るため、まず「遊泳禁止」というルールを守り、一人一人が「何かあっても泳げるだろうと過信せず」行動することが大切ではないでしょうか。

文:BS-TBS「噂の!東京マガジン」取材チーム
放送日:2022年5月15日(日)午後1:00~1:54

▽BS-TBS「噂の!東京マガジン」 毎週日曜ひる1:00~1:54 放送中です。

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