今、ペットのウサギがブームになっています。
鳴かないし、大人しいし、可愛らしいということで飼う人が増えているのです。
しかし、その一方、多頭飼育崩壊といった問題も起き、数多くのウサギが悲惨な目にあっています。
「噂の現場」は、ブームという光と飼育崩壊という影を取材しました。

ウサギブームの実態

都内で最近増えているウサギカフェ。
都内にあるお店は10匹のウサギたちに逢うために多い日は客が60人も来るという大盛況ぶりです。
またウサギ専門のペットショップも増えていて、訪れた人たちにウサギの魅力を聞くと、「飼いやすい」「癒される」「一番の心のオアシス」といった言葉が返ってきました。
正確な数は分かりませんが、ペット保険にウサギを加入させる飼い主も増え、その数から推測するにペットとしてウサギは犬猫に次ぐ多さだといいます。

ウサギ男子

ウサギをペットにする人たちの中で増えているのが、ウサギに嵌ってしまった男性「ウサギ男子」です。
今、ウサギをこよなく愛する中高年の男性がたくさんいるといいます。
その一人である49歳の独身男性は、自宅にウサギの専用部屋をもうけ、そこに自分のベッドを置いて一緒に寝ていました。
休日出かける時は必ずケージに入れ連れていくという熱愛ぶりでした。

多頭飼育崩壊

ウサギを家族同然に大切にしている人たちがいる一方、飼育することができなくなりウサギを捨てる人たちなども増えています。
今年3月、名古屋市では自宅で繁殖し数が増えたことで飼育できなくなるという多頭飼育崩壊が起きました。
その現場で保護活動を行ったボランティアが撮影した映像を見ると、約20匹のウサギが水もエサも与えられない状態でなんとか生き延びていましたが、飢えで力尽きた死骸もありました。
飼い主は50代の男性でしたが急病になり緊急入院、そのまま亡くなってしまったといいます。

多頭飼育崩壊の原因の一つ：強い繁殖力

ウサギの多頭飼育崩壊は数多く起きていますが、原因の一つは強い繁殖力にあるといいます。
ウサギは生後6か月で繁殖可能になり、妊娠期間はわずか1か月、しかも一度に4匹以上出産します。
そうして生まれた子ウサギが交尾し妊娠すると、そこからは倍々と増えていき、1年で100匹近くになってしまった例もあります。
その他の原因としては、鳴かないので数が増えても近所が気付かないことや、素人では雄雌の判別が難しいので知らぬ間に繁殖してしまうということもあるといいます。

ウサギは動物愛護管理法の対象外

名古屋市もそうでしたが多頭飼育崩壊の現場で保護活動を行っているのは主にボランティアです。
というのも動物愛護管理法には、犬猫に関しては自治体に引き取る義務があると明記されていますが、ウサギについては書かれておらず対象外なのです。
そういうこともあってか自治体の担当者はウサギの扱いに不慣れなことも多く、ボランティアに頼るしかないというのが現状です。
保護活動を行っているボランティアは「ペットのウサギが増えているのだから法律の対象にするべきだ」と訴えています。

ウサギを救う里親たち

飼育を放棄されてしまったウサギたちはどうなるのか？
その救いの手として里親探しをしているボランティア団体が東京の東村山市にありました。
そこでは常に20匹ほどのウサギが引き取ってくれる里親が現れるのを待っています。
ペット不可のアパートで飼われていたのがバレ、やむなく保護したウサギや、飼い主が離婚し行き場を失ったウサギなど、飼っていた人の都合で辛い目に遭ったウサギたちです。
この団体では、これまでに300匹を保護し280匹に里親を見つけてきましたが、国や自治体などからの援助は無く、月20万円ほどかかる運営費は自分たちで賄っています。
そんな中、力になってくれているのが里親になった人たち。
はるばる遠方からエサの牧草やペットフードなどを差し入れに来てくれたりしています。

大切な里親選び

保護団体はホームぺージでウサギたちのプロフィールを公開し里親を募集していますが引き渡しは慎重に行っています。
本当に大切に世話することが出来るかなどを見るために、必ず2週間のお試し飼育をしてもらっています。
そして、問題が無いと分かれば譲渡費用1万円を納めてもらい正式譲渡に。
大切なことは、可愛いからと安易に飼わない、安易に売ったり譲渡したりしないことだといいます。
保護ボランティアの「やりたくてやっているわけではない、自分が何もしなくていい世界になって欲しい」という言葉が現在の状況を表している「噂の現場」でした。

文：BS-TBS「噂の！東京マガジン」取材チーム
放送：2023年11月19日(日)午後1:00～1:54

BS-TBS「噂の！東京マガジン」
毎週日曜ひる1:00～1:54 放送中

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