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夏休みの自由研究・天然記念物ニホンカモシカが人里に出没‼【噂の!東京マガジン「噂の現場」】

今回の「噂の現場」は小島奈津子さんの初取材。
夏休みの自由研究「ニホンカモシカ」です。
高山帯を棲み処にしている国の特別天然記念物ニホンカモシカがここ数年、東京都青梅市の人里に頻繁に出没するようになり住民たちが驚いています。
実は、宮城県仙台市や盛岡市などの都市部にも姿を現しているのです。
ニホンカモシカが、なぜ人里に現れるようになったのか?
その原因と知られざる生態にせまりました。
滅多に見ることができない珍獣ニホンカモシカを小島さんは、目撃することができたのでしょうか?


ニホンカモシカとは?

日本の固有種であるニホンカモシカは、実は鹿の仲間ではありません。
ウシ科カモシカ属に分類される偶蹄類。
そのため牛と同じように雄にも雌にも角があり、胃も4つあります。
3歳で成獣になり、体重は35kgほど、体長は1~1.5m、一夫一妻なので個体数は増えづらいといいます。
主な生息地は標高1500~2000mの険しい山岳地帯や急な崖地。
その存在は日本書紀や万葉集にも記述されています。

なぜ特別天然記念物なのか?

戦後、良質な肉と毛皮を求める乱獲が続き、1955年の時点で個体数が3000頭にまで激減と推測。
そして、絶滅の危機を脱するために特別天然記念物に指定されました。

東京の青梅市に出没

青梅市では以前から森の中での目撃情報はチラホラあったそうですが、ここ2、3年は民家の近くで頻繁に見かけるようになったといいます。
警戒心が薄いようで人が近づいてもすぐには逃げようとしないといいます。
スマホのレンズを向けるとカメラ目線で応えてくれたり、玄関の前にいることもあったといいます。
当初は、多くの住民が珍獣の出没を驚き歓迎していたそうです。

なぜ人里に出没?

ニホンカモシカの生態に詳しい岐阜大学の淺野玄准教授は、人里に現れるようになった原因の一つは、特別天然記念物として保護されてきたことによる個体数の増加があるといいます。
かつて3000頭と言われた個体数は今、10万頭にまで増え、生息域を人里の近くまで広げることになったのではというのです。
また農業被害などが問題になっているニホンジカの存在もあるといいます。
200万頭にまで増えたニホンジカが高山帯にまで侵入し、繁殖力などで劣るニホンカモシカを追い出すことになった可能性があるというのです。

ニホンカモシカの生態に詳しい
岐阜大学 淺野 玄 准教授

ニホンカモシカによる農作物被害

当初は歓迎されていたニホンカモシカですが、農作物を食い荒らすようになると迷惑がる声も上がるようになりました。
農業被害は全国で出ていて、被害総額は8700万円に達しています。
青梅市ではサクランボやプラムの木の葉っぱを食べられてしまい、果実がなりませんでした。
また唐辛子の一種ハラペーニョの葉っぱも食べられてしまったといいます。
山梨県小菅村では、特産品のわさびを一晩で1500本も食べられてしまいました。
ニホンカモシカは胃が4つもあるので大食漢だといいます。
ワサビ農家はニホンカモシカを「最強の敵」だと言っていましたが、「最強の敵」というのには理由がありました。

特別天然記念物という最強のガード

鹿やイノシシによる農業被害を食い止めるため駆除を行っている青梅市の猟友会は頭を抱えていました。
というのも特別天然記念物であるニホンカモシカは、原則、捕獲や駆除が禁じられているので何もできないのです。
万が一、傷つけたり死亡させたりした場合は5年以下の懲役、または100万円以下の罰金に処されます。
このようにニホンカモシカは特別天然記念物という最強のガードを持っているので、農家にとっては「最強の敵」なのです。
シカやイノシシの罠にかかってしまった時も傷つけないようにして逃がさなければなりませんが、3年前愛知県では逃がそうとした男性が角で突かれ亡くなっています。
罰せられるリスクは誰にでもあります。
車ではねて怪我や死亡させた場合は、文化財保護法違反が適用され罰金などの処罰を受ける可能性があるのです。

ニホンカモシカを捕獲している県もある

その一方、ニホンカモシカを捕獲している自治体もあるのです。
実は、個体数の増加に伴い著しい農作物被害があった場合は、文化庁から捕獲の許可が出るケースがあるのです。
それによる個体数の調整は、1980年頃から山形県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県で実施されてきましたが、問題の解決にはなっていないと淺野准教授はいいます。
なぜなら捕獲できる頭数は少なく、捕獲したからといっても、その個体が農作物を荒らした個体とは限らないからなのです。
もっと広い視野での対策が必要なようです。
そもそも個体数が減ったからと保護したのも人間で増えたからといって問題にしているのも人間、ニホンカモシカは被害者だと淺野准教授はいいます。
ニホンカモシカと人間が共生できる手段はないものなのかと考えさせられた「噂の現場」でした。

文:BS-TBS「噂の!東京マガジン」取材チーム
放送:2023年7月30日(日)午後1:00~1:54

BS-TBS「噂の!東京マガジン」
毎週日曜ひる1:00~1:54 放送中

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