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保護樹木なのになぜ?ご神木が伐採される理由【噂の!東京マガジン「噂の現場」】

街を歩いていて「保護樹木」もしくは「保存樹木」というプレートや看板がある木を見たことがあると思います。
それらは市区町村から保護すべきものと指定されている樹木なのですが、実は、突然切られてしまうことも多いのです。
東京都杉並区西荻窪ではマンション建設に伴い一本の保護樹木が切られることになり、周辺住民から反対の声が上がっています。
その現場など保護樹木の現状を取材すると、制度自体が持つ様々な問題が見えてきました。


保護樹木制度の現状

保護樹木や保存樹木は市区町村が制定した条例に基づき指定されているもので、樹木の所有者には補助金が出ます。
日本全体で見ると令和5年時点で350以上の市区町村で指定が行われ、約5万7千本が保護対象になっているといいます。
しかし、実態としては伐採するために保護樹木の指定を解除されるケースも多く、全体的には減少傾向にあるのです。

保護樹木だったご神木が切られてしまう

西荻窪で切られることになった保護樹木は樹齢150年のケヤキで、神社のご神木でした。
神社の土地の所有者が亡くなると相続人が神社を返上し、ご神木の保護樹木指定を解除。
土地をデベロッパーに売却したことでマンション建設が計画され、ご神木も切られることになったのです。
反対している周辺住民は「まさか保護樹木が切られることになるとは思わなかった」と驚いています。

簡単に解除できる保護・保存樹木

世田谷区ですでに切られてしまった保存樹木の現場を取材すると、疑問を持ち、切った業者に話を聞いた近隣住民からこんな証言を得ることができました。
業者は「保存樹木は解除されているので、元保存樹木だから問題ない」と言ったそうです。
そこで住民が区に「なぜそんなに簡単に解除できるのか?」聞いたところ、「簡単に解除できないと保存樹木にしたくないという所有者が多くなってしまうから」と言われたといいます。
住民は「保存すると言いながらすぐ解除できるというのはおかしい」と制度に矛盾を感じていました。

保護樹木は地主にとっても問題

庭の木を保護したくても保護できないのが現実だと訴える地主もいました。
杉並区でかなり広い土地を先祖代々受け継いできた人は、庭にある大木を区から保護樹木にしないかと勧められたそうですが断ったそうです。
その理由の一つは補助金の少なさでした。
杉並区では保護樹木1本に対し年間8千円が補助されますが、地主によれば枝打ちなどで年間50~60万円かかっているそうで全く足りないというのです。
さらに他の理由として、保護樹木に指定されると、すぐ解除できるとはいっても周辺住民の目があるので切りづらくなってしまうというのです。
実際、この地主は固定資産税や相続税を払う資金を作るために土地を民間企業に貸し出すことにしたのですが、その条件として木の伐採が必要になり古い大木を切りました。
それは税金を払うための苦渋の決断だったといいます。

これからの樹木保護とは?

環境植栽学の専門家である千葉大名誉教授の藤井氏は「現在の保護樹木制度は中途半端でこのままでは貴重な樹木が減ってしまう」と警鐘を鳴らします。
これからは貴重な樹木を社会の財産と考え、保護する費用を自治体が負担し所有者への負担を減らす必要があると話します。
本当に樹木を保護したいのであれば、制度を見直す必要があると感じた「噂の現場」でした。

文:BS-TBS「噂の!東京マガジン」取材チーム
放送:2024年6月23日(日)午後1:00~1:54

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