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熱帯魚から大型魚まで!荒川が外来生物天国となっている理由とは?【噂の!東京マガジン「噂の現場」】

2023年6月、アメリカザリガニとアカミミガメが野外に放すことを禁止する条件付特定外来生物(※後述)に指定されました。
そんな中、一級河川の荒川では、多くの外来生物が生息し、被害に困っている人たちがいます。
荒川といえば、埼玉から東京へ、都市部を多く流れる河川。
なぜ外来生物があふれているのでしょうか。


アリゲーターガー グッピー コクチバス…まさに外来生物天国の荒川

荒川は、埼玉県秩父連山の甲武信ケ岳から流れ出し、埼玉から東京にかけて流れ、最後は東京湾に注ぐ全長173キロの一級河川。
そんな荒川に本当に外来生物がはびこっているのか。

お会いしたのが、荒川で長年外来生物の駆除や調査を行っている、埼玉南部漁協の組合員・あらかわさん。
あらかわさんは近年、1.5mの特定外来生物アリゲーターガー捕獲時の映像など、YouTubeで荒川の現状を伝え、啓発活動も行なってています。

そこで荒川さんの外来生物の駆除活動に、同行させてもらうことに。

まず訪れたのは、荒川水系の一級河川・柳瀬川。
カメラを川の中に入れてみると……わずかな範囲に、たくさんのグッピーが。
グッピーは南米原産で1960年代以降、観賞用のペットとして、輸入が始まった熱帯魚。
メダカの生態への影響が懸念され、注意を要する外来生物に指定されています。
さらに柳瀬川では、オグチバス・フロリダバスとともに、ブラックバスと呼ばれている北アメリカ原産の特定外来生物・コクチバスも捕獲。
コクチバスは食欲旺盛で何でも食べるため、在来種への影響が深刻だといいます。

荒川水系入間川 特定外来生物コクチバスによる、観光資源アユの食害も

近年、そのコクチバスの生息域は、支流にも広がっています。
埼玉県を流れる荒川水系の入間川。
全長73キロのこの一級河川では年間およそ1000人が訪れるアユ釣りが人気で、所管する入間漁協は、毎年1.2トンのアユの稚魚を放流しています。

しかし漁協の方々によると、放流した稚魚の3割から4割が、コクチバスやカワウの被害にあっているといいます。
またそのコクチバスは、近くにある名栗湖で、釣りを楽しむため、何者かが放流。
それが入間川まで、入り込んでいるといいます。
漁協では、毎年5月から10月、組合員総出で駆除を行っていますが、被害は減っていません。

荒川下流のビオドープ 1つのトラップに30匹ものアメリカザリガニ

アメリカザリガニは、今年6月から「条件付特定外来生物」に指定されています。
条件付特定外来生物とは、今までペットとして飼っていた人は「飼養」がOK。
また新たに飼い主を探す「譲渡」もOK。
ただし野外に放したり、逃がすことは禁止というもの。

しかし江東区から委託を受け、在来種が生息するビオトープを管理している団体、ネイチャーリーダー江東によると、アメリカザリガニは荒川下流ですでに大繁殖しているといいます。
取材した日、ビオトープ内の池に設置した5個のトラップのうち一つを上げてみると、30匹ものアメリカザリガニが……。
団体は捕獲後、オスメスの判別、大きさなどを記録し、江東区に報告しています。

荒川が外来生物の天国になっている要因!?「温排水」とは

なぜ荒川にはさまざまな魚種の外来魚があふれているのか。
釣り人に聞いてみると「荒川は他の川に比べ温かい」「温排水」との声が……。
またあらかわさんも「下水処理場などから注ぐ『温排水』によって水温が上がり、外来生物が冬でも生息できる環境になっているのでは」とのこと。

「温排水」とは工場や下水処理場が流す排水のこと。
下水処理場の場合、汚水を微生物が分解してきれいにしていますが、その微生物が最も活発になるのが20~30度なので、温排水もそれぐらいの温度に保たれているといいます。
また東京工業大学木内教授によると、荒川の水温上昇の原因は、地球温暖化よりも温排水の影響が大きいといいます。

そこで実際に荒川の水温を計測してみると、温排水の流出口付近は31度だったのに対し、その20m上流は26度。
5度も水温の差がありました。

外来生物に詳しいNPO法人の久保田さんによると、都市部を流れる荒川沿岸部は温排水を出す施設が多く、外来生物が生き残る環境になっている、とのことでした。

漁協の不満と荒川を管理する国の見解

アユの稚魚がコクチバスに食べられている入間漁協の人たちからは、
「被害を受けている我々が駆除を行っている」
「実際に外来生物法が適用されて、3年以下の懲役、300万円以下の罰則を適用された人はいない」などの不満の声が……。
                       
一方、国の荒川下流河川事務所は、
「地域の市民団体や行政機関等と一体となって、外来植物の駆除活動を行っているほか、環境学習などの活動時に採捕された外来種の取扱いの普及啓発と駆除活動を行っています」
「外来種の種類の増減などは把握していますが、温排水による影響は把握していません」
とのことでした。

母なる川のために 行政と市民 双方が取り組みを

荒川は埼玉県民・東京都民合わせて1680万人の水道用水にも使われている、母なる川です。
より積極的な調査や駆除活動への補助などが必要なのではないでしょうか。
一方で我々が生活で意識すべき問題もあります。
風呂やシャワーの水、洗濯の水、トイレの流し水、台所で調理や後片付けに使用する水など、便利な生活を送る人が流す生活排水は1日に200リットルにもなるといいます。
これらをできるだけ減らす、熱い湯をそのまま流さない、などの心がけも各自で必要ではないでしょうか。        

文:BS-TBS「噂の!東京マガジン」取材チーム
放送:2023年9月17日(日)午後1:00~1:54

BS-TBS「噂の!東京マガジン」
毎週日曜ひる1:00~1:54 放送中

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