東京・あきる野市に、東京都が建設し、完成してから10年経つにも関わらず、全面開通していない橋があります。
またお台場には、同じく東京都が建設しながら、完成後8年で閉鎖されたままの橋があります。
一体なぜ「開かずの大橋」になってしまったのか？
詳しく取材しました。

完成から10年経っても全面開通せず
あきる野市 建設費16億円の草花大橋

あきる野市の住宅街で、平井川という川にかかる「草花大橋」。
東京都が2013年に竣工。全長は約200m、建設費は16億円。
付近には橋が開通していないため、信号機も袋がかぶせられたまま。
その袋もボロボロになっていました。
また橋の車道部分はフェンスで封鎖され、車両通行止めの看板が。
しかも車道にはなぜか大量のガードレールがびっしりと並べられています。
さらに歩道も、自転車の通行は禁止されていました。

土地を差し出し家屋を縮小した住民 「なんのために協力したか分からない」

多くの住民がせっかく造ったのだから、早く開通させてほしいといいます。
南側に駅や生活用品の販売所もあり、住民に身近な施設が多いので、せめて自転車は通れるようにしてほしいとのこと。
また計画に協力するため、23年前、東京都に土地を売却し家屋を縮小して建て直した住民は、いつまで経っても橋は全面開通せず、何のために協力したのかわからないと言います。

東京都が10年も橋を開通できない理由とは？今後の見通しは？

草花大橋は、54年前に東京都が計画決定した都市計画道路の一部で、途中の川を渡るための橋でした。
しかし自然保護の観点から橋の建設に反対していた住民が長年用地買収に応じていないため、橋につながる道路の拡張ができていないといいます。
その道路は、車同士がすれ違うのもギリギリ。
また、通学路として使われていることもあり、交通量が増えれば事故の危険性も。
そのため、全面開通できないのです。
そこで東京都に「橋を着工する際、拡幅計画を事前に立てたのか」「なぜ用地買収が進まないのか」と質問したところ、東京都は「道路の整備計画は、路線全体で計画している」「個別の用地買収の状況は回答しかねる」とのことでした。

完成から8年で閉鎖…お台場 28年閉鎖したままの「青海橋」

東京お台場、青海地区。こちらにも通行できない橋があります。
橋の名前は「青海橋」。全長およそ200m。
この橋も東京都が建設しました。
都の港湾局によると、開通したのは36年前の昭和62年で建設費は15億円。
しかし使われたのは、わずか8年。
その後28年も閉鎖された状態が、続いているのです。
なぜ長期間、通行止めにしているのでしょうか？

東京都が10年も橋を開通できない理由とは？今後の見通しは？

都の港湾局の担当者に現場で話を聞いたところ、青海橋は、並行する湾岸線の渋滞緩和と埋立地を造成する工事車両の通路として造られました。
しかしその後すぐ、歩行者専用の「夢の大橋」と片側3車線の「あけみ橋」が新たに完成。
そのため、青海橋はほとんど使われなくなり、開通から8年で廃止になったといいます。
また閉鎖状態がすすむうちに建設から36年が経ち、老朽化が進んできたため、億単位の金額をかけて撤去する準備を始めたそうです。

計画性がなかった…税金のムダ遣い…住民の声を受け止めてほしい

あきる野市の草花大橋についても、お台場の青海橋についても、付近の住民や観光客は「税金のムダ遣いだ」と批判していました。
東京都全体の財政からみれば小さな話のように見えてしまうかもしれませんが、10数億円の税金が投入され、住民を移転させてまで作った橋が十分に役割を果たしていない、また果たせなかったのは、大きな問題ではないでしょうか。
東京都は住民の声に耳を傾け、真剣に受け止めてほしいと思います。

文：BS-TBS「噂の！東京マガジン」取材チーム
放送：2023年1月29日(日)午後1:00～1:54

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