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自由研究企画第1弾「めだかの学校が消滅の危機!?」【噂の!東京マガジン「噂の現場」】

童謡「めだかの学校」の舞台にもなった、神奈川県小田原市。
この地で工業団地が計画され、住民から反対の声が挙がっています。
メダカといえば、1999年に絶滅危惧種にも指定された希少な生物。
なぜそんな地で、開発計画が進んでいるのか。

メダカの故郷・小田原 そこに計画された工業団地の概要

1950年(昭和25年)、童話作家・茶木滋さんが、小田原市内の水路を、長男と訪れたときの思い出を元に作詞したという、童謡「めだかの学校」。
工業団地が計画されているのは、その小田原市内の田んぼが広がる、鬼柳・桑原地区。
広さは東京ドームおよそ2.5個分以上。田んぼを造成し、様々な工場を誘致するというもの。
しかしそこは、現在、神奈川県内で唯一、野生のメダカ(ミナミメダカ)が生息している一帯。
また小田原市も、市役所で繁殖させるなどしたメダカを市民に無料配布する「メダカのお父さんお母さん制度」や「市の魚」にメダカを選ぶなど、特別な魚として大切にしてきました。
市のシンボル・メダカの故郷を、工業団地化しようとしているのは、誰なのか…

実は地権者の9割は賛成 しかも計画を推進していたのは、小田原市自身

実は工業団地化を推進しているのは、小田原市自身でした。
市は約40年前から工業地化を想定。
都市計画マスタープランの中で、「この地区を、経済情勢や関係権利者の意向を踏まえながら、工業地の整備を図る」としていました。
開発に反対する住民は、メダカを保護する一方でその生育環境に影響を及ぼす開発を推進する小田原市の姿勢を「矛盾している」と批判しています。
しかし地権者の約9割は開発に賛成の意向でした。
その根本には、小規模な農業は儲からず続けて行くのが困難、という事情があったのです。

絶滅危惧種メダカに迫るもう一つの危機 「国内外来種問題」 

近年、人工的な交配によって、さまざまな改良メダカが誕生。
手軽に飼え、品種が多いことから、観賞用として人気が高まっています。
一方、そのような改良メダカや他の地域のメダカが川に放たれることで、野生のメダカが絶滅する可能性もあるといいいます。
専門家によると、生息する地域によって遺伝子が異なるため、同じ野生のミナミメダカでも9つのグループがあり、違う地域のものと交配させると、地域に適合した特徴が失われ、絶滅する可能性もあるといいます。
専門家は、めだかはこの「国内外来種問題」が近年深刻化しているといい、店で買ってきたメダカを安易に近所の水辺に放すことは、絶対にしてはいけないとしています。

メダカも農家も守れる、農業を続けて行ける環境を持続していくには…

開発や国内外来種など、さまざまな脅威にさらされている、メダカ。
しかし小田原市は番組の取材に対し、工業団地の計画は雇用の創出、地域経済の活性化のために推進する、とのことでした。
開発とめだかの保護は矛盾する、という批判に対しては、メダカの生息環境等にも配慮した、学識経験者の意見も参考にしつつ進めていきたい、とのことでした。
一方、計画に反対する住民は、休耕田などを借り、米作りを代行。
これを通常の1.8倍ほどの価格で「めだか米」の名で販売。
収益をメダカと農家を守る保全活動資金に充てています。
今後、米作農家はますます継続が難しくなると言われています。
その農家を救うための策が、工業団地の開発なのか。
もしくは農業を継続できるようにする支援なのか。もし工業団地の開発を推進した場合、メダカの生育環境への配慮が、本当に両立するものなのか。
市は慎重に考える必要があるのではないでしょうか。

文:BS-TBS「噂の!東京マガジン」取材チーム
放送日:2022年8月7日(日)午後1:00~1:54

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