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本当に必要?人工干潟に住民が猛反対!【噂の!東京マガジン「噂の現場」】

東京湾に面している千葉県市川市の海岸線はほとんど埋め立て地です。
そこで市は去年8月、市民が海と触れ合える場所を造るということで人工干潟を造成する計画を発表しました。
しかし、住民から猛反対されているのです。
なぜ反対なのか?
取材を進めると、人工干潟造成のリスクと市がどうしても造成したいもう一つの理由が見えてきました。


人工干潟計画とは?

計画地はJR市川塩浜駅近くの工業地帯の海岸線。
そこに幅100メートル奥行50メートルの人工干潟を造成するといいます。
規模は大きくありませんが、大量の土砂が必要になることなどから、3億5千万円から7億5千万円と多額の事業費が見込まれています。
市川市は2025年度に着工し2029年度の完成を目指すとしています。

計画地

住民の反対理由

この人工干潟計画に多くの住民から必要がないとの声があがっています。
その理由の一つは、かつて千葉県がほぼ同じ場所で人工干潟を計画し調査段階で断念しているからなのです。
様々な工法を模索した県は人工干潟の維持と生物の生息を両立できる工法が見つからなかったとして断念しています。
その同じ場所に市はどんな工法で造成するつもりなのか?
市は検討中としていますが、住民はもし人工干潟が造成できたとしても維持管理に膨大な費用がかかる恐れがあると言っています。
そしてもう一つの反対理由は、計画地から車で5分ほどの所にある江戸川放水路の河口に天然の干潟があるからなのです。
その広さは計画されている人工干潟の10倍以上もあり、多くの人たちが潮干狩りなどで海と触れ合ってきた干潟です。
反対住民は、その天然の干潟の近くにトイレや駐車場などを整備する方がいいと言っています。

江戸川放水路の河口にある天然の干潟

市川市の考え

反対している住民に対し市川市は、天然の干潟は江戸川放水路の河口にあるので行政区分としては河川であり海ではない、また大雨時には大量の淡水が放水されるので海の生物の生息が困難になると説明したといいます。
さらに市長は5月下旬の会見で「多数の市民が海と触れ合える場所を求めており、私は政治生命を懸けている。もし反対するなら市長選に対立候補として立候補していただきたい。それぐらいの覚悟だ」と決意を表明しています。

人工干潟で集客!?

反対住民は、市川市は人工干潟を工業地帯に賑わいを生む「まちづくり基本計画」の目玉にしようとしていると話します。
その計画では、「流れるプールやサーフィンができるプール」と一緒に人工干潟を整備するとしているのです。
住民は「市にとって人工干潟の計画地は、あの場所でなければ意味がない、だから何としても造ろうとしている」と話します。

プールの建設予定地

人工干潟の難しさ

人工干潟の難しさを専門家は指摘します。
干潟など湿地帯を研究している法政大学人間環境学部の高田雅之教授は「干潟は自然に形成される条件が揃った場所にしか存在しない」と話します。
つまり現在存在していない場所に人工的に造成してもうまくいかない可能性が高いというのです。
そして、各地ですでに完成した人工干潟の多くでは維持管理に手間とコストがかかっているといいます。
住民の声に耳をかたむけ計画の見直しも検討してもらいたいと思った「噂の現場」でした。

文:BS-TBS「噂の!東京マガジン」取材チーム
放送:2024年7月14日(日)午後1:00~1:54

BS-TBS「噂の!東京マガジン」
毎週日曜ひる1:00~1:54 放送中

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