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憧れの世田谷区に迷惑な空き家が続々出現!【噂の!東京マガジン「噂の現場」】

東京都世田谷区は憧れの住宅街ですが、実は全国の自治体の中で
一番空き家の数が多いのです。(総務省2018年住宅・土地統計調査)
なぜなのか?
その理由を探ると世田谷ならではのワケが見えてきました。

11軒も空き家が立ち並ぶ密集地帯

東急田園都市線の駒沢大学駅から徒歩10分、駒沢オリンピック公園にも近い好立地に木造平屋建ての空き家が11軒も密集していました。
屋根の庇やブロック塀には穴が空き、外壁が朽ちるなど老朽化が進み、近隣住民にとっては大変迷惑な空き家です。
ところが、誰も管理していない様子で建物はつたで覆われ庭の木は伸び放題、一帯は森のようになっていて人目につかないことから不要になった家電製品などの不法投棄も後を絶ちません。
環境が悪化していく中、近隣住民は建て替えなどの対策を望んでいます。

近隣住民に迫る危険

過去にはブロック塀の倒壊も起きています。
幸いけが人はありませんでしたが、いつまた倒壊するか分からない状態で、近隣住民は地震などの災害時に大きな危険を及ぼすのではと心配しています。
さらに伸びた庭の木が電線に触れており、火事の心配も。
実は昨年、世田谷区では、空き家への放火事件が起きているのです。

高級住宅街のアニマルハウス

11軒の空き家は野良猫などの棲み処になっていてタヌキやハクビシンの姿も度々目撃されています。
ハクビシンは感染症の危険を及ぼす可能性を持つ動物で、住民は何とかして欲しいと訴えていました。
また蚊も大量発生、近隣住民は蚊の被害に悩まされています。
ネット上では、この11軒の空き家が話題になり「高級住宅街のアニマルハウス」と呼ばれるようになり、廃墟マニアによる不法侵入も起きています。

11軒の空き家の所有者は同じ地主

近隣住民などによれば11軒の空き家は全て同じ地主が昭和41年に建てた賃貸住宅だといいます。
近隣住民からの苦情を受け、世田谷区も所有者に対策するよう交渉してきましたが、5年ほど前に庭の木の剪定などを行った後は、ほとんど管理しなくなってしまったのです。
世田谷区の担当者は、敷地外の公道上であれば区が緊急的に対策を行うことができるものの、敷地内にある家屋や木などには財産権があり対策することは難しいといいます。
現在、所有者は区に対し対策を行うために動いていると話しているそうですが、いつ行うかは不明です。

なぜ空き家を放置するのか?

駒沢の11軒の空き家が、なぜそのままになっているのか?
理由は分かっていませんが、一般的に空き家を放置してしまう理由として多いのが固定資産税の減税措置だと言われています。
居住用の建物が建っている土地は優遇措置が受けられ固定資産税が6分の1に減額されるのです。
現状、誰も住んでいない空き家であってもこの減税措置が適用されるため、自分が所有する空き家が近隣住民に迷惑をかけていても解体せず残しておく所有者が多いのです。

世田谷区に空き家が多い理由

それにしてもなぜ世田谷区に空き家が多いのか?
取材を進めていくと世田谷ならではの理由がいくつか見えてきました。
その一つは、「家への愛着」。
代々受け継がれてきた家を自分の代で処分するのは気が引けるということで誰も住まなくなっても家を処分できないといいます。
二つ目は「処分の煩雑さ」。
処分したいと考えていてもどの業者に頼めばいいのか、売却の手続きの仕方がわからない、など煩雑で面倒なことが多く空き家を放置してしまうといいます。
そして三つ目が「経済的な余裕」。
空き家所有者の多くは、経済的な余裕があり売却を急がないといいます。
その上、高く売れる可能性がある土地なので、なるべく高値でという心理が働きなかなか決断しないというのです。

世田谷区の対策

そんな中、世田谷区は空き家対策として去年11月から所有者と不動産業者を繋ぐ「せたがや空き家活用ナビ」というサービスを始めました。
空き家の所有者は無料で専門のアドバイザーに相談しながら好みに合った業者や処分方法などを選ぶことができ、この半年間で4件が成約しています。

空き家対策特別措置法

自治体などが所有者に対し適切な管理を行うよう促しても放置されている空き家への対策として2015年に施行されたのが「空き家対策特別措置法」です。
自治体が「特定空き家」を指定し強制力を持って適正な管理を促すことができます。
もし「勧告」になれば固定資産税の減税措置も受けられなくなり、最終的には自治体による行政代執行での解体も可能です。

特定空き家の運用実態

空き家問題の解決策の一つとして施行された「空き家特措法」ですが専門家によれば特定空き家への指定はさほど行われていないといいます。
指定に対する明確な基準が示されていないので自治体が慎重になり、特定空き家に指定していいケースであっても指定しないのです。
専門家は現状に合わせた基準を設けるべきだと指摘します。
世田谷区の担当者も空き家になって1年経ったら固定資産税の優遇措置が無くなるなど明確な基準を設けて欲しいと話していました。

来年4月の民法改正

何もしないもの勝ちといった一面もある空き家問題ですが、実は来年4月の民法改正により大きく前進するかもしれないのです。
民法改正により、迷惑を受けている近隣住民などの利害関係者が裁判所に所有者による対策の必要性を訴えると裁判所が強制力を持って所有者に対策を行うよう勧告したり、場合によっては空き家と土地を没収することもできるようになるのです。
この民法改正により空き家問題は解決に動くのか?噂の現場は今後にも注目しています。

文:BS-TBS「噂の!東京マガジン」取材チーム
放送日時:2022年9月11日(日)午後1:00~1:54

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