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小田原市の重要文化財の利活用に住民から不満の声!【噂の!東京マガジン「噂の現場」】

今、全国の自治体で国の登録有形文化財である歴史的な建物をどう保存していくかが課題となっています。
そんな中、神奈川県小田原市が約100年前に建てられた木造建築を民間事業者に貸し出し、今年3月から日本料理店として利活用したところ、住民から見直しを求める声が上がるようになったのです。
これまで税金から支出してきた年間およそ1300万円の維持管理費を実質0円にできるというのに、なぜ住民は不満を訴えているのか?取材しました。


市民憩いの場“清閑亭”

日本料理店として利活用されたのは小田原城址の一角にある「清閑亭(せいかんてい)」。
黒田官兵衛の末裔であり貴族院副議長だった黒田長成の別邸として建てられた数寄屋造り風2階建ての木造建築で、現在は小田原市が所有し保存しています。
当時の職人技が施された清閑亭への出入りは自由で無料ということで、これまで施設の見学をはじめ、書や絵画の展示会やイベントなど様々な形で年間2万人に利用されてきました。

住民が見直しを求めている理由

しかし、今年3月から日本料理店としての利活用が始まると状況が一変したと住民は訴えます。
民間業者に貸し出されたのは1階部分だけで、庭園や2階はこれまでと同じように住民に開放されているはずですが、「今まで自由に散歩できた庭園や建物へ入るためには飲食店のスタッフに声掛けしなければならなくなった」「しかも料理店のお客に配慮してくださいと言われてしまう」「市民のものである清閑亭が一事業者の物になってしまった感じがする」との声が。
以前は開館時間内であればいつでも自由に入れた1階部分にも日本料理店の客にならなければ入ることができなくなってしまったのです。
また住民は、月20万円という賃料が安すぎると言っています。
しかも市に入る年間240万円の賃料は庭園と建物の手入れの費用として全て消えてしまうので、市民にとってのメリットが少ないと言っています。
そして、文化財であるがゆえに禁止されていた増築が、なぜか事業者が決定したあと可能になり新たに厨房が建てられたことについても、市が業者を優遇しすぎだと言っています。

賛成している人も多い

その一方、日本料理店としての利活用に賛成している人たちもいます。
理由としては、税金で賄われてきた年間およそ1300万円の維持管理費が実質0になること。そして、小田原城址に新たな観光拠点ができることなどだといいます。

初めて民間提案制度で利活用

市内に個人所有も含め27件も登録有形文化財がある小田原市は、市の所有している文化財の利活用をこれまでは業務内容などを細かく提示した上で民間から提案してもらう方式で行ってきましたが、今回は民間が自由に提案できる「民間提案制度」を初めて使い利活用を行いました。
民間提案制度では市と公募で選ばれた業者が対等な立場で話し合い、事業を進めています。
清閑亭の公募には9件の提案がありましたが、その中から「食を通じて小田原ならではの文化を発信できる」ということなどで日本料理店としての利活用案が採用されたといいます。
そして、その後開かれた話し合いで出た別棟の厨房が新たに必要だという業者の要望を受け、市が文化庁に掛け合って厨房の増築が可能になり、清閑亭の裏庭に厨房が建てられたといいます。

住民の監査請求で再調査に

実は、日本料理店としての利活用を決めたのは前市長です。
その前市長はブログで厨房の増築について、民間提案制度では事業者と話し合いを進めていく中で改良していくことがあるとしています。
しかし、見直しを求めている住民たちが監査請求を行ったところ、監査委員会は市に対し増築の件などを再調査するよう勧告しました。
それを受け現在の市長は専門家による再調査を行うとしています。
調査の結果、清閑亭の利活用はどうなるのか?
今後も注目していきたいと思います。

文:BS-TBS「噂の!東京マガジン」取材チーム
放送:2024年9月8日(日)午後1:00~1:54

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