なぜ出現?対策は?巨大な金属の山に住民大迷惑【噂の!東京マガジン「噂の現場」】
近年、住宅地の近辺に、金属の廃品を大量に山積みする、「金属スクラップヤード」と呼ばれる施設が急増。
周辺住民が、騒音など、環境の悪化に悩まされ続けています。
一体誰が、金属スクラップを持ち込んでいるのか。
またこのような施設が近年になって増加したのは、なぜなのでしょうか。
千葉・袖ヶ浦市 高さ10m以上の金属スクラップの山も!市内に9か所
袖ヶ浦市の住宅地そばの道路沿いに、6年ほど前に出現した、金属スクラップの山。
付近の幼稚園は、朝夕、出入りするダンプの騒音に悩まされ、流出した液体で下のコンクリートは溶解していました。
市内にはこのような金属スクラップヤードが判明しているだけで9か所もあり、火事を起こしたヤードもあります。
運営しているのは中国人でした。
そこで袖ヶ浦市は、今年4月から市独自の条例を施行。
金属の山の高さなど保管の基準や、水質検査の義務付け、違反すれば罰金100万円など罰則についても定めました。
しかし住民によると、2か月経っても(取材時)、改善した様子はないといいます。
千葉市 2年前に条例制定も守らない業者 騒音&粉じん被害 改善せず
袖ヶ浦市よりも早く、2年前に規制条例を制定していた千葉市。
しかし市内には、相変わらず大きな音を立てて操業する中国人の金属スクラップヤード業者が…。
付近の住民が測定すると、朝からパチンコ店の店内と同程度の騒音を出していました。
また隣接する山林を所有する住民によると、業者はヤード内部で出た粉じんを山林に向けて放出していたといいます。
この業者に千葉市は、条例ができた2年前から指導を続け、3月には改善命令も行いました。
保管の高さについては改善が見られた部分もありますが、番組が業者に取材したところ騒音については「改善の予定は未定」という答えでした。
中国人業者の金属スクラップヤード 近年急増の原因は 「中国の方針転換」
番組が取材した金属スクラップヤードはいずれも中国人の業者が運営し、ここ5、6年に建設されたもの。
なぜ同じような施設が急増しているのでしょうか。
その理由を、袖ヶ浦市で中国人の業者に直接聞いたところ「中国が金属スクラップの輸入を禁止したこと」が契機であったことがわかりました。
中国では、以前は、再生原料として日本ほか世界から、金属スクラップを輸入していました。
しかし汚れていたり不純物が混ざっているゴミのようなスクラップが持ち込まれていたため、環境悪化が深刻になったのです。
そこで2018年、中国はプラスチックなどの不純物が混ざったスクラップ(雑品スクラップ)の輸入を全面的に禁止。
これによって日本国内の雑品スクラップの行き場がなくなり、中国人の金属スクラップ業者が、日本国内にヤードを作り、解体や選別を行うようになったといいます。
ちなみに、日本のスクラップ業者は、中国が無選別の金属スクラップを長年受け入れているうちに解体・選別のノウハウが“若手”に“継承”されなくなってしまったため、現在、日本国内で金属スクラップを扱っている業者のほとんどが、中国人なのだといます。
条例の限界、法の不備…「土砂」と同じ構図の「金属スクラップ」の問題
金属スクラップは、価値がある資源物とみなされ、保管に関して規制する法律がありません。
野放図に山積みされ、周辺住民への騒音や粉じんなどの被害が続くのは、結局、法の不備が原因ではないでしょうか。
自治体の条例にも100万円の罰金が定められていますが、業者への抑止力にはなっていません。
「土砂」もこれまで金属スクラップと同様に保管や運搬、埋め立てに関する法律がなく、熱海では土石流となって民家を襲い、各地の住宅街に土砂の山が現れ周辺住民が迷惑を被っていました。
今年5月に法律が改正されましたが、金属スクラップの山に関しては現在も法律による規制がありません。
実際、千葉市によると、市内には93もの金属スクラップヤードがあり、うち16のヤードについて苦情が寄せられているそうです。
金属スクラップヤードは、これまで輸入を受け入れていた中国が一切受け入れなくなったことで、今後ますます増えていくはずです。
住民の安全を守るために、まずは金属スクラップの管理について法律を制定し、規制すると同時に、
再生資源物である金属スクラップを国内で循環させる流れを国が先頭に立ち、つくっていくべきではないでしょうか。
文:BS-TBS「噂の!東京マガジン」取材チーム
放送:2023年5月28日(日)午後1:00~1:54
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