増え続ける空き家。
国の調査では、現在、家屋の7軒に1軒が空き家という状態です。
そんな中、国は今年3月、空き家を減らす対策として、空家特措法の改正案を提出。
管理が行き届いていない空き家には、これまであった固定資産税を減額する住宅用地特例を解除する、としました。
しかしその方策で、本当に空き家が減るのでしょうか？
各地の空き家の持ち主に話を聞くと、やむをえず所有することになり、売りたくてもなかなか売れない事情が、明らかになりました。

千葉・館山　やむを得ず引き継いだ「特定空き家」 解体だけで400万円

千葉県館山市の空き家は、2020年の時点で「特定空き家」に指定されている、すでに老朽化が進んだ空き家。
所有者であるご夫婦は、ご主人のお兄さんが空き家を管理してくれないので、仕方なくご主人の名義に変えました。
もともと土地が祖父、建物が祖母の名義であったため、変更するのに10人の息子たちの判子をもらう必要があり、名義変更だけで、大変な思いをしたといいます。
しかも買い手は見つからず、解体するだけで400万円もかかる借金することになるので、なんとか引き取り手を探したいといいます。

長野・諏訪　東京から4時間＆親の介護で管理できない空き家

長野県諏訪市の空き家は、もとは所有者の実家。
しかし現在暮らす東京から4時間もかかる場所。
また母親の介護が大変なこともあり、空き家を管理できる状態にないといいます。
それでも固定資産税は年6万円以上で、法改正されたらさらに上がる状況です。
なんとか売却したいと考えていますが、大通りに接道していない再建築不可物件であることもあって、売り手がつかない状態が続いています。（取材時）

静岡・沼津　夏休みの思い出が残るが維持できない空き家

静岡県沼津市の空き家は、所有者に代わり、不動産業者の田中さんが案内。
物件は海や川も近く、子供時代、夏休みを過ごした思い出の家。
しかし今後子供たちで維持していくのは難しいので、引き取り手を探したい、とのこと。
またこの空き家は駐車場がないことがネックとのことでした。

空き家特措法改正案の有効性は？弁護士の見解

家庭の事情でやむを得ず空き家を所有することになった人たちの多くは、真剣に売却や処分を考えているがうまくいかないのが実情。
もともと固定資産税を安く抑えるために、空き家を所有し続けているわけではありません。
そのため、空き家に詳しい弁護士は、空き家特措法を改正して、固定資産税が高くなっても、空き家解消の効果はあまりないのでは…という見解でした。

静岡・東伊豆　空き家を「1円」で買った人の満足度は

沼津の空き家を案内してくれた不動産業者の田中さんは、どうしても空き家を手放したい所有者のため、空き家の「1円」での売買を仲介しています。
もともと茨城在住だった男性は、定年後は釣りをして過ごしたいと、4年前、傾斜地に建つ、築47年二階建ての空き家を1円で購入。
購入の際、登記費用12万円　水道維持協力費44万円、不動産取得税6万5千円…など130万円の出費があり、購入後も業者の見積もりによると、約2万2千円の固定資産税がかかるとのことでしたが、本人の満足度は「120点」とのことでした。

今後も増え続ける空き家　どんな対策が有効なのか？

今回取材した方々のように、望まずして空き家の所有者になってしまい、売れずに困っている人の場合は、固定資産税が上がっても、所有する苦労が増すだけではないでしょうか。
管理しきれいない空き家については、現行より自治体の権限を強めて相続放棄できるようにする、また空き家から更地にした場合むしろ固定資産税を下げるなど、空き家減少には、より所有者の現実に即した対策が、必要ではないでしょうか。

文：BS-TBS「噂の！東京マガジン」取材チーム
放送：2023年5月14日(日)午後1:00～1:54

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毎週日曜ひる1:00～1:54 放送中

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