新たなハコモノ行政か!? 全国で進んでいるアリーナ建設計画とは?【噂の!東京マガジン「噂の現場」】
今、全国の自治体がアリーナの新設・建替を検討していることをご存じでしょうか?
なんとその数は都道府県の倍近い88件にもなっています。
今回の「噂の現場」は、その一つ、さいたま市の計画に強く反対している近隣住民を取材し、今なぜ、アリーナ建設が全国的なブームになっているのか?理由を探りました。
さいたま市のアリーナ建設
さいたま市は与野中央公園を広げ、「次世代スポーツ施設」と言われる大小2つのアリーナおよび結束空間を建設する予定です。
小さいアリーナは老朽化が進んでいる市立体育館の代わりとなり、主に市民スポーツの場になる予定です。
一方、収容人数5000人規模という大きなアリーナはプロバスケットBリーグの試合や有名アーティストのコンサートなどを行う予定だといいますが、このアリーナについては近隣の住民たちが「自分たちに必要なのは小さい方で大きいアリーナは必要ないので税金の無駄遣いだ」と反対しています。
住民が反対する理由
住民が反対する理由の一つは、約2キロ離れた所に国内最大級のさいたまスーパーアリーナがあるからです。
規模は違うとはいえ、近くに同じようなアリーナがあるので稼働率が低くなるのではというのです。
また、川のすぐ横にある建設予定地は地盤が柔らかく大地震で液状化する可能性が高い危険区域に指定されているので、なぜそんな場所に大きなアリーナを建設するのか?理解できないと言っています。
すでに計画地の周辺では道路を整備する工事が行われたそうですが、その影響で住宅の室外機が傾いたり、ブロック塀がひび割れたりといった被害が出ていました。
そして住民にとって最も許せないのが「約束違反」だといいます。
実は与野中央公園の整備計画が始まったのは旧与野市時代、その時は緑の多い公園にするという計画でアリーナの話は無かったといいます。
市から公園を広げるために土地を売って欲しいと言われた住民は、緑の公園になるのであればと土地を手放したそうですが、その後、2001年に与野市が近隣の市と合併、さいたま市になった後、突如、次世代型スポーツ施設の建設が公園整備計画に組み込まれたというのです。
土地を手放した人は「金を返すから土地を返してくれ」と怒っているそうです。
国のスタジアム・アリーナ改革
さいたま市を含め、今、全国で88件ものアリーナの新設・建替が構想されていますが、そんなブームとも言える状況を生んだのは、国の「スタジアム・アリーナ改革」でした。
単なる体育館とは違い、商業施設でもあるアリーナで地域経済を活性化するために国が交付金を出し奨励しているのです。
それに老朽化した施設を新しくしたい自治体や地域経済の活性化を図りたい自治体が飛びつき、ブームのような状態になっているようです。
新たなハコモノ行政か?
自治体の問題を研究している専門家は「88件は多すぎるし規模が大きすぎる計画もあり、将来、維持管理にコストがかかることも予想され、新たなハコモノ行政になる」と警鐘を鳴らしています。
他の自治体でも住民が反対
アリーナ計画に住民が反対しているのは、さいたま市だけではありません。
今春、北陸新幹線が開通した福井市では、当初75億円だった整備費が105億円に増え、市民から税金の無駄遣いだという声が上がっています。
また京都府では、府立大学の老朽化した体育館をアリーナに建て替える構想に対し、「なぜ大学内に商業用のアリーナを建てるのか」と市民が疑問をなげかけ反対しています。
そして、去年5月にオープンした佐賀市のアリーナでは、来場者用の駐車場が少ないことから周辺での違法駐車や住宅などの個人の駐車場に無断駐車してしまうという迷惑行為が横行しているといいます。
佐賀市はアリーナが地域経済の活性化に繋がると言っていたそうですが、それを信じ近くに出店した弁当店は「さほど恩恵を受けていない」と嘆いていました。
国の狙いどおりにアリーナが地域経済を活性化するのか?
今後、自治体にとってお荷物になることはないのか?
「噂の現場」は目を光らせていきます。
文:BS-TBS「噂の!東京マガジン」取材チーム
放送:2024年4月21日(日)午後1:00~1:54
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