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食い止められないジャンボタニシの被害 苦しむ米農家…原因のひとつに誤ったSNS投稿も?【噂の!東京マガジン「噂の現場」】

これまで何度か取り上げてきたジャンボタニシ被害の第4弾です。
今年、千葉県が行った調査ではジャンボタニシに稲を食べられてしまうという被害が例年の3倍以上になっていることが分かりました。
米農家が必死に対策を行っても増えていく被害。
なぜ食い止めることができないのか?
その原因に迫り、苦しむ米農家を救うかもしれない最新の対策にも注目しました。


ジャンボタニシとは?

ジャンボタニシこと学名「スクミリンゴガイ」は南米原産の外来種。
1981年に食用として輸入されたものが養殖場から逃げ出し野生化したと言われています。
そのジャンボタニシの繁殖力は凄まじく、個体によっては年間8000個もの卵を産むといいます。
当初、生息域は沖縄や九州に留まっていましたが徐々に拡大し、現在は関東にまで広がっています。

年々増えている食害

ジャンボタニシは、田植えして間もない若くて柔らかい稲を食べてしまいます。
今年、千葉県のある米農家は東京ドーム4分の1ほどの面積を食害されてしまい、被害額は稲を育てる準備に費やした「耕作・肥料等」の費用も合わせるとおよそ1500万円にものぼるといいます。

被害増の原因:気候変動

ジャンボタニシへの対策の一つとして田んぼの水位の管理があります。
ジャンボタニシは体の一部が水面から出ていると動きが鈍くなるので田んぼの水を常に低く保っておけば食害を減らすことができるのです。
しかし、近年は集中豪雨が降ることも多く、水位の管理が難しくなり食害が増えたといいます。
また南米原産のジャンボタニシは寒さに弱いので日本では越冬できないと言われていましたが、このところの温暖化により越冬してしまう個体が増えたといいます。
農薬もありますが複数の米農家からは「耐性ができたのか、効き目が悪くなっている」という声も聞こえてきています。

被害増の原因:デマ情報

ジャンボタニシが増えた原因の一つに無責任な情報発信があったといいます。
実は「あえて田んぼにジャンボタニシを撒き、雑草を食べさせる」という除草方法を推奨するような投稿がSNSで拡散されたのです。
これには農水省も「絶対止めてください」と注意喚起していますし、専門家も「危険であり得ない行為だ」と警鐘を鳴らしています。
というのも稲の食害だけでなく人体への影響も考えられるからなのです。
ジャンボタニシには広東住血線虫という寄生虫がいる可能性があります。
その寄生虫が人体に入り感染した場合は発熱や嘔吐を引き起こし、最悪死に至ることもあるのです。

最新の対策:早めの田植え

現在、米農家が行っている主な対策は、1つの田んぼに何千何万といるジャンボタニシを「耕運機で潰すこと」「土を掘り起こすことで寒風に晒し死滅させること」「何万個も産みつけられた卵を手で除去していくこと」といった地道で気が遠くなるような作業ばかりです。
そんな中、千葉県のある米農家が考えた対策が「田植えの時期を早める」ということです。
孵化する前の3月下旬に田植えをすれば、孵化して稲を食べる頃には稲はジャンボタニシが食べることのできない大きさにまで成長しているのです。
しかし、これを実行するためには利根川水系からの取水時期を早めてもらう必要がありますが、利根川水系の水は工業など他の産業でも使用しているので調整が必要となり簡単にはできないようなのです。

最新の対策:学生発案のワナ

新たな対策の研究も進められています。
千葉県立農業大学校の学生が考案した捕獲用のワナは農林水産大臣賞を受賞しました。
それは100円ショップで手に入る材料で作ることができ、エサもドッグフードと安価。
効果が大きい対策として注目されています。
実験で効果は実証済み、現在は商品化に向け改良中です。

最新の対策:水を張らない未来の稲作

「田んぼに水を張らずに稲を育てて美味しい米を作る」そんな研究が進んでいます。
カビの一種であるアーバスキュラー菌根菌を稲の根に付着させ、水を張っていない田んぼに植えると、アーバスキュラー菌根菌が土の中から水分や養分を引き寄せ、稲に供給してくれるのです。
まだ研究段階ではありますが、水を張らない田んぼはジャンボタニシが生息できない環境なので食害はなくなるはずです。

米農家を救う最新の対策に期待したいと思った「噂の現場」でした。

文:BS-TBS「噂の!東京マガジン」取材チーム
放送:2024年9月15日(日)午後1:00~1:54

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