なぜ閉鎖?誰が決めた?今後が不安!駅のトイレ廃止問題【噂の!東京マガジン「噂の現場」】
千葉県中部、大網白里市のJR永田駅で、今年2月から駅構内のトイレが閉鎖されてしまい、鉄道の利用者から、不満の声が上がっています。
誰が、どんな理由で閉鎖したのか。
それによってどんな困った事態になっているのでしょうか。
経費削減のため駅トイレ廃止 代わりは車両のトイレ?
東京から電車で70分。
JRの外房線と京葉線が走る、永田駅。
元地区長でもある地元住民によると、JRは経費削減のため、永田駅構内のトイレを閉鎖。
今後は鉄道の車両に設置されたトイレを使用するように言われたといいます。
しかし利用者によると、外房線には2両目と6両目にトイレが設置されているものの、ラッシュ時に移動は難しく、京葉線にはそもそも車両にトイレが設置されていないといいます。
JR永田駅周辺の3つの市営公園に公衆トイレはゼロ
ならば駅周辺の公衆トイレを利用すればよさそうですが、永田駅周辺は、徒歩5分以内に3つの市営公園がありながらも、トイレはいずれも設置されていませんでした。
トイレ利用者に迷惑している駅周辺の店舗も
そこで駅でトイレを利用したくなった人が立ち寄るのが、近隣のホームセンター。
計測したところ、最短で駅から徒歩で5分43秒でしたが、途中に踏み切りがあるため、たどり着くまで時間がかかる可能性があります。
またホームセンターはトイレが利用されることをさほど問題視していませんでしたが、駅周辺の個人経営の居酒屋やパン屋は、トイレだけ利用し、店は利用しない人も多いため、駅のトイレ閉鎖以来困っている、とのことでした。
永田駅のトイレについて 住民・JR・大網白里市の見解
住民有志でつくる「永田駅のトイレを存続させる会」は現在までに185の署名を集めました。
一方、JR東日本千葉支社は、「持続可能な鉄道ネットワークを維持していくため、トイレを閉鎖」「駅のトイレはあくまでもサービスの一環。必ず作らなければならないものではない」「使用再開の予定はない」などと回答。
そして大網白里市は「JRから市に永田駅のトイレ譲渡を打診されたものの、市は維持費と改修費を理由に拒否」「JRに対しトイレ再開は要望している」とのことでした。
1人100円の有料制にすれば、永田駅のトイレ維持は可能では
一方、年間30数万円という永田駅トイレの維持費について、「永田駅のトイレを存続させる会」からは、駅のトイレを交通系ICカードが利用できる有料制にしたら維持費を賄えるのでは、という声も挙がっていました。
永田駅のトイレ利用者は、おおよそ1日10人前後。
1人100円で1日10人が利用すると1日に1000円の収入。
それが365日と考えると合計36万5千円。
たしかにほぼ維持可能な金額になります。
自治体に公衆トイレ設置・維持管理の義務を定めた法律とは
大網白里市は、JRから駅のトイレ譲渡を、維持費や改修費を理由に拒否しました。
ただし「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の第5条には、「市町村は、必要と認める場所に、公衆便所(および公衆用ごみ容器)を設け、これを衛生的に維持管理しなければならない」と定められています。
市は駅周辺の公園にトイレを設置することについては「まだ市民からの声が上がっていないため、勝手にトイレを造ることはできない」という見解でしたが、現在永田駅のトイレが閉鎖されている以上、市は、駅周辺に公衆トイレを設置することも、検討すべきではないでしょうか。
住民の声や自治体の主導で駅のトイレが再開した例も
千葉県市原市の小湊鉄道の無人駅・月崎駅では、駅のトイレが老朽化したものの、市原市が仮設トイレを設置し、新たなトイレの設置も発注。
駅周辺に観光地が多く、トイレは一つのおもてなし、という考えから新築を決定しました。
また山梨県大月市のJR中央本線・鳥沢駅では、駅舎改修の際、一度はトイレが撤去されたものの、3419もの署名が集まった結果、大月市が県から補助を受けつつ駅に新トイレを設置しました。
現在、トイレの維持管理は住民有志と市が協力して行っています。
大網白里市はJRに駅のトイレを再開を要望するだけでなく、上記の他の市のように、市が再開と維持管理を主導することも検討すべきではないでしょうか。
現在のトイレを再開して維持管理する費用は、1人100円の有料化でまかなえる規模。
市、住民、JRで協力すれば、市の現状に合ったアイデアを出せるのではないでしょうか。
文:BS-TBS「噂の!東京マガジン」取材チーム
放送:2023年6月25日(日)午後1:00~1:54
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