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巨大団地のスーパーが撤退!住民の生活はどうなる?【噂の!東京マガジン「噂の現場」】

今、昭和のベッドタウンとして開発された各地の巨大団地で入居者が減り、高齢化が進んでいます。
そして、団地内にある商店街の多くがシャッター街となり、スーパーも撤退するという事態が起き、生活がしづらくなっているのです。
そんななか、若い世代による団地再生の動きもあります。
今回の「噂の現場」は、団地の光と影にスポットをあて、団地の未来について考えてみました。

昭和の頃は夢のまちだった“百草団地”の買い物難民

東京都日野市と多摩市にまたがる百草団地の入居開始は多摩ニュータウンよりも前の昭和44年、ニュータウンの先駆けでした。
29棟に2028戸という賃貸住宅群をUR都市機構が管理しています。
緑も多い閑静な住環境ですが、ここ数年で住民の生活は大きく様変わりしました。
実は長年、住民の食生活を支えてきた団地内のスーパーが去年6月、赤字を理由に閉店してしまったのです。
その結果、住民は買い物難民状態に。事態を重くみたURが移動販売やコンビニを誘致しましたが……今なお刺身などの鮮魚など、手に入らないものがあり、住民はバスに10分乗って駅周辺のスーパーまで買い出しに行く必要があるのです。
しかも住民の6割以上が高齢者。
バスで買い物にでかけ、鮮魚や他の物を買って帰ってくるのは想像以上に大変。
エレベーターが併設されていない棟が多く、重い荷物を持って上がるのは、かなりの重労働になっているのです。

百草団地の光は「リノベーション」

百草団地の周辺にあった二つの小学校が閉校、団地内の数軒のクリニックも撤退と生活環境は厳しくなるばかりですが、そんななか、6年前からURが若者に人気のMUJI HOUSE(ムジハウス)と組んで実験的に行ってきたリノベーションが一筋の光になっています。
MUJI HOUSEらしいシンプルな内装などが子育て世代に好評で、募集した9戸すべてが契約済みに。
その入居理由は、棟と棟の間の芝生のスペースが広く緑も多い、民間住宅には無い団地ならではの造りが魅力的だったのではとURの担当者は話します。
URは今後さらにリノベーションした物件を増やしていくといいます。

かつての多摩平団地が一変 シェアハウスで活用

日野市にある昭和33年竣工の多摩平団地。
建物の老朽化もあり、2002年に建て替えましたが、その際、あえて5棟だけ建設当時のまま残しました。
そして、その1棟は今、若者向けのシェアハウスになっています。
なぜ団地をシェアハウスに?
企画した不動産会社はその理由を「元々3Kで3部屋ありキッチンがあるという間取りが、3つの個人部屋があるシェアハウスに適していたから」だと話します。
そうなれば家賃も安く設定できるので若者にピッタリだと思ったといいます。
その狙い通り、現在は若い漫画家とその卵たちが団地1棟のシェアハウスに53人も入居し、集団生活送っています。
団地に漫画家を入居させるプロジェクトを行なっているNPO法人との協力によって実現したのですが、若手漫画家たちにとっての魅力は、光熱費とネット使用料込みで5万4000円ほどの家賃と、同じ夢を持つ人たちとの情報交換。
さらにもう一つ魅力を感じていることが。
それは古い団地の外観だったのです。
昭和生まれにとって古臭いと感じるものに、若者たちは新鮮な魅力を感じていました。

活気に溢れている団地の商店街

多摩ニュータウンにある落合団地の商店街に行ってみると、近年の団地の商店街ではあまり見かけない光景が。
大勢の人たちが集まり活気に溢れていたのです。
なぜなのか?
その理由を探ってみると、ある新住人の存在がありました。
一級建築士の横溝さんは、奥さんが落合団地で育ったという縁もあり、商店街に住居兼建築事務所を開きました。
その際、街づくりのプロである横溝さんは団地特有の構造に可能性を見出しました。
「商店街は駅に向かって歩く動線沿いにできることが多いが、団地には主導線がない。」そう話す横溝さんは、ならば団地の中に駅のように世代を問わず人が集まる場所をつくれば、動線が生まれ商店街が活気付くと考えたのです。
そこで、事務所の一部にカフェを設置。
古本やアーティストが作ったアクセサリー、知り合いが作ったパンなどを販売し、誰でも訪れることができるフリースペースにしたのです。
すると団地の住民や近隣の若い世代の人々が集まるようになり、新たな人と人の繋がりが生まれたのです。
そして、いつしか商店街が賑わいを取り戻していったといいます。
最近では、若者に人気の古着を扱うお洒落なショップもオープンしました。
店主は古着店を開いた理由を「若い人たちが住みたいと思う街づくりになっているから」と話していました。

これまで気づかなかった団地の魅力に気づかされた「噂の現場」でした。

文:BS-TBS「噂の!東京マガジン」取材チーム
放送:2023年6月11日(日)午後1:00~1:54

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