埼玉県越生町にある建築関係の会社が、町内を流れる橋戸川を不法占有し、川の上に大きな建物を建ててしまっている現場です。
それが原因で大雨の時には周辺では浸水被害が出ていますが、不法な状態は40年以上も続いています。
なぜそんなことになっているのか？
取材を進めると、なんと野放しにされていた違法な行為は他にもあったのです。

浸水被害とその原因

越生町が管理する橋戸川を建築会社がある下流へ進んでいくと、川の上を塞ぐように建物が建てられていました。
さらにその先に進んでいくと、川は途中からパイプになり狭くなっていたのです。
周辺住民によれば建築会社がパイプにしたそうで、本来約4メートルあった川幅は、およそ約1.3メートルにまで狭まっていました。
大雨になるとここに流木などが溜り、川が溢れてしまうのです。
去年7月の大雨では溢れた水が近隣の住宅を襲い家財道具や工作機械などが水没。
その被害総額は約2000万円に及んだといいます。
住民が建築会社を訪れ改善を求めたところ、建物の所有者が激昂し話にならなかったといいます。

越生町の対応と不法占有者の言い分

周辺住民からの訴えもあり、越生町は昭和57年から現在に至るまで、原状回復を促す勧告を27回、現地指導を34回行ってきたといいますが、不法占有は全く改善されていません。
去年6月、建物の所有者はTBS報道局の取材に対し、前の前の前の町長と口約束で許可を得たと主張。
しかし町は否定、そもそも町長にそのような権限はなく使用するためには正式な許可申請が必要なのです。

建築会社は違法行為のデパート！？

建築会社の違法な行為は川の不法占有だけではありませんでした。
平成29年には埼玉県から建築基準法違反に対する是正命令が出されていたのです。
是正項目の一つであった違反した建物を展示場や物品販売に使うことは是正されましたが、肝心の建物に関しては、現在も是正されていません。
さらに消火設備が無いスプリンクラーが設置されていないなど消防法でも9項目に違反していて、平成30年には西入間広域消防組合から是正命令が出されているのですが、これにも従わず是正されていません。

建築会社が火元で近隣住宅が全焼

建築基準法にも消防法にも違反している建物では、これまでに7度火災が起きています。
5度はボヤで済みましたが、2度は隣接する住宅に燃え移り、1度は全焼しています。
その時は出火原因が不明ということで不審火として処理されましたが、周辺住民は常に火災の心配をしながら生活しているのです。

現状での行政対応と新たな動き

番組が建築基準法違反の建物が長年放置されていることについて埼玉県を取材したところ、「指導中であり詳細は答えられない」という回答がありました。
そんな中、去年9月、行政に新たな動きがあったのです。
町長と埼玉県庁の担当者が現地を視察し周辺住民の訴えに耳をかたむけたのです。
そして、その後開かれた住民説明会で町長が「訴訟を視野に入れこの問題を法的に解決したい」と発言。
しかし、周辺住民からはかつての二の舞になるのではという声も聞こえてきました。
というのも20年前にも住民説明会で町の担当者が「建物を撤去しない場合は司法に訴えるしかない」といった今回と似たような発言をしているのです。
不動産問題を数多く手がけてきた弁護士は「実際、被害が出ているのになぜ40年も訴訟に踏み切らなかったのかが疑問。訴訟になれば決着は早いはず」と話します。
いつどのような形で解決するのか？
噂の現場は取材を続けます。

文：BS-TBS「噂の！東京マガジン」取材チーム
放送：2023年1月22日(日)午後1:00～1:54

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