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一体なぜ?公共施設がボロボロなのに豪華施設を計画する久喜市【噂の!東京マガジン「噂の現場」】

埼玉県久喜市で、中学校の校舎や駅前の歩道橋など、多くの公共施設が老朽化。
一部の施設では事故が起きているのに、修理が進まず、問題になっています。
一方で市は、多額の予算が必要な、ある豪華施設の建設を計画。
一体どういうことなのか?
市民はどう感じているのか?
くわしく取材しました。


都心まで50分のベッドタウン 埼玉県久喜市

埼玉県の北東部に位置する久喜市は、人口およそ15万人のベッドタウン。
都心まではおよそ50分と、アクセスも良好です。
久喜市は50年ほど前のベビーブームで人口が激増。
それに伴い当時、多くの公共施設が建設されました。
近年、それらの施設が軒並み老朽化し、問題となっています。

雨の日でなくても雨漏り 外壁が落下する事故も 中学校が深刻な老朽化

老朽化が進む久喜中学。
校舎を見ると……外壁や階段がボロボロ。
内壁にも無数のひび割れが。
それでも、これらもほとんど、修理できていません。
そしてあちこちで起こる雨漏り。
ビニール袋とバケツで応急処置はしているものの、教室内でも水滴が落ちてくることがあり、感電を防止するため、電灯を外している教室まで……
さらに、屋上に上ってみると……防水シートが雨風にさらされ、めくれ上がっていました。
学校は以前から市に修繕を要望しているものの、いまだ実現していません。

一方、久喜東中学では2022年10月、校舎4階部分の外壁が落下。
実は、こちらの中学校も老朽化の状況を以前から市に訴えていたといいます。
しかし事故から半年間以上、修繕は行われませんでした。
ところがその後、翌2023年6月、この落下事故が多くのメディアで報じられると、翌月には、ただちに緊急の修繕が行われたのです。

市内の小中学校23校から修繕要請 

番組が取材した中学校は2校でしたが、故障・破損などで市に修繕を要請している市内の小中学校は、実は2023年7月時点で23校124件。
市は完全に放置しているわけではなく、部分的な修繕は行っており、今年12の中学について、調査費用などを計上。
しかし実際の修繕にいくらかかるか分かっていないので、いつ行えるかは未定だといいます。

駅前の歩道橋も老朽化で一部が落下

さらに、2023年3月には、多くの人が利用する駅前の歩道橋で、橋脚を支える部分のコンクリートが落下する事故が。
現在は補修されているものの、一歩間違えば大事故となる場所。
落下したのは、130キロもの塊でした。

一方で市は25億円の付帯施設つき豪華ゴミ処理施設の建設を計画

なぜ市は、積極的な修繕を行わないのか。
ある市議によると、久喜市は財政赤字が続いており、老朽化した公共施設をただちに修繕したくても、できない状況だといいます。
       
ところが、その一方で市は6階建てのごみ処理場の建設を予定しています。
この新しいごみ処理施設は、光るエントツを備え、ごみ処理機能の他に屋上庭園、コンサートができるステージ、ランニングコースなど総額25億円の付帯施設つき。      
また、その横には、ごみ処理施設とは別に130億円の予算で、ランニングコースを備えた大きな公園も建設予定だといいます。

久喜市民からは、ごみ処理施設そのものは必要なのでほぼ反対はないものの、ごみ処理施設内に25億円かけて作られる付帯施設や130億円かけて作られる公園、またその両方にランニングコースがあることなどには、疑問の声が上がっています。

なぜごみ処理施設にランニングコース?久喜市市長の見解

久喜市市長は、中学の校舎など老朽化した公共施設については、
「公共施設の維持管理にかける予算の配分はしっかりとこれから精査して執行していきいたい」
とのこと。
ただし取材時の時点では、いつまでと期限は明言しませんでした。
また2カ所に計画されているランニングコースについては、
「にぎわい機能のランニングコースは、遊歩道的なもの、ごみ処理施設の見学コースも兼ねている」
そして公園は、
「新たなごみ処理施設用に土地を売却してくれた住民へのフォローの意味が大きい」
とのことでした。

「健幸・スポーツ都市」を宣言した久喜市

そもそも久喜市はランニングやマラソンなど、運動に関することに力を入れています。
市長自身が「趣味はマラソン」と市のホームページで明言。
2016年からハーフが最長の「久喜市マラソン大会」を開催。
しかも2024年はフルマラソンの開催を予定しています。

コロナ前の2020年春には、「健幸・スポーツ都市」宣言を行い、世代を問わず、すべての市民が運動やスポーツを中心とした健康づくりに取り組み、活気あふれる久喜市の創造を目指す、としています。
                       
ところが市のこれらの方針に市民も賛同しているかというと……久喜市のハーフマラソン定員6000人に対し応募は3000人、来年開催予定のフルマラソンのコース調査費は、目標100万円でクラウドファンディングを行ったところ、7万円しか集まりませんでした。

子どもたちと市民のために まずは老朽化対策を

独自の施策で市を活気づけていくことは大切ですがが、市はまず財政赤字を改善し、公共施設の老朽化対策を早急に行うべきではないでしょうか。
ランニングコースやマラソン大会に力を入れることが、まったくの不要だとは思いません。
しかしそちらに走りすぎず、まずは公共施設の老朽化対策に力を入れるべきではないでしょうか。

文:BS-TBS「噂の!東京マガジン」取材チーム
放送:2023年8月27日(日)午後1:00~1:54

BS-TBS「噂の!東京マガジン」
毎週日曜ひる1:00~1:54 放送中

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