65年前の計画復活で400世帯が立ち退きの危機【噂の!東京マガジン「噂の現場」】
東京都練馬区が行う公園整備事業に伴い400世帯およそ1000人が立ち退きの危機に晒されています。
しかもその都市計画は、今から65年も前の昭和32年に決定したものなのです。
「噂の現場」は、計画の見直しを求めている住民たちを取材しました。
東京32区で一番緑が多い練馬区
大都会東京でありながら練馬区は面積の約1/4が緑です。
それを裏付けるように公園の数も691か所と23区一番の多さ。
そんな練馬区が、東京ドーム約2個分、面積およそ10ヘクタールという大規模な公園の整備を進めると発表したのです。
公園整備の目的は“カタクリ”や“オオタカ”の保護
新たな公園整備が計画されている場所には、既に清水山憩いの森と稲荷山公園があり、都が絶滅危惧種に指定している植物「カタクリ」が23区内で唯一自生しています。
さらに貴重な野鳥「オオタカ」も生息していることから、それらを保護するために公園を広げ、かつての自然豊かな景観「武蔵野の面影」を取り戻すと区は言っています。
計画の見直しを訴える400世帯
しかし、公園を整備するためには計画地で暮らす400世帯の立ち退きが必要になります。
そして、多くの住民が計画を見直して欲しいと訴えています。
理由の一つは、多くの人たちが高齢者で引っ越し先を探すことが困難だということ。
もう一つの理由が、そもそもカタクリを守って増やしたのは立ち退きを迫られている自分たちだからだということです。
住民によるカタクリの保護活動
50年前、散歩していた住民が偶然、群生しているカタクリを発見。
そこから住民たちによる保護活動が始まりました。
ごみの撤去や病気の治療、盗掘を防ぐためのパトロール、見学者へのガイドなど、全てボランティアで行ってきました。
住民が手塩にかけて守ってきた「カタクリ」は1989年に練馬区の天然記念物に指定され、2006年には、当時の区長から住人に対し感謝状も贈られています。
しかし今、練馬区はその住民たちに立ち退きを求めているのです。
住民たちからは「聞いたこともない不義理な話だ」という声があがっています。
カタクリを観る場所を確保するために立ち退き!?
練馬区が公表した資料によれば、立ち退きを迫られている400世帯の内、250世帯の理由は「カタクリのある森を眺めるゾーンなどの確保」でした。
なんと立ち退いた後にはレストランやオープンカフェ等の設置が検討されているのです。
行政訴訟も辞さないという住民たち
住民が一番知りたい立ち退きの時期について練馬区の担当者は「現
時点では決まっていない」などとはっきりとしたことを伝えません。
住民は「計画を見直して欲しいという住民の声を聞かずに進むので
あれば行政訴訟も考える」と言っています。
噂の現場は今後の動きにも注目しています。
文:BS-TBS「噂の!東京マガジン」取材チーム
放送日:2022年6月12日(日)午後1:00~1:54
▽BS-TBS「噂の!東京マガジン」 毎週日曜ひる1:00~1:54 放送中です。
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