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増加する学童保育の待機児童。ではなぜ支援員は増えないのか?【噂の!東京マガジン「噂の現場」】

共働きの家庭が小学生の子供を預ける場所である「学童保育」。
近年、その「学童」の待機児童数が増加しています。
以前問題になった「保育所の待機児童」は大幅に減少したのに、学童の待機児童は、なぜ減らないのか。
現場で働く人の声を聞きながら、探りました。


多様な形態の学童保育

学童保育の名称は、学童クラブ、放課後児童クラブ、放課後キッズクラブなどさまざま。
また、公設公営、民設公営、民設民営など、運営形態もさまざま。 
公営の場合、自治体の補助金(自治体ごとに異なる)と保護者が支払う料金で運営され、料金は月数千円のところが多数。
一方民営の場合は、保護者が支払う料金のみで運営。
送迎つきなどサービスが手厚い分、料金が月数万円のところもあります。

学童保育の待機児童の増加 原因は放課後児童支援員のなり手不足

学童の待機児童の数は、令和元年に18000人を超え、過去最多を記録。
コロナ禍で一時減少したものの、再び増加傾向にあります。 
なかには去年まで学童保育に通えていた子が待機児童になるケースも……。
保護者によると、その大きな原因は、学童の指導員、いわゆる「放課後児童支援員」が足りないからだといいます。

児童を見守るだけではない 放課後児童支援員の多忙な仕事とは

横浜市の民設民営の学童保育。  
こちらでは、常勤の2名の支援員と、数名のアルバイトの方が働いています。 
支援員の一日に密着すると……在籍44人のうち20人の児童が施設に来た日。元気に動き回る児童を見守り、対応しつつ、指導員の方は終始何かを書き続けています。
その内容は、出欠簿、施設内でどんな遊びがどんな様子で行われたかの記録、さらに児童たち個々の記録も……さらに、44人いる児童の保護者と、出欠や個別の相談事のLINEや電話での報告なども……。
結局、夜まで仕事終わらず12時間以上勤務。
そんな日が珍しくないといいます。

放課後児童支援員の人数 増えない原因

支援員の方が行う「遊びの記録」や「子供個々の記録」は、国が定めた「放課後児童クラブ運営指針」に基づくもの。
この業務量の多さが、長時間労働につながっているといいます。
支援員の方によると、国は上記のような多くの業務を指示していながら、それに見合った待遇(給料)を保証せず、自治体任せである点が不満だといいます。
また昇給も約束されていないため、将来が不安だとも……。
この状況だから、支援員の数も増えないのでは、とのことでした。

国の支援事業は十分と言えるのか

放課後児童支援員の待遇を含む学童保育の現状について、こども家庭庁の回答は、
「学童保育などを含む『子ども・子育て支援事業』を実施する市町村に対し、国は補助率3分の1の交付金を交付しています」
とのことでした。
                       
しかしこの方法では、学童保育に熱心でない自治体が少ない予算で事業計画を立てた場合、たとえ国が補助しても、結局、その自治体の支援員の待遇は、十分には改善しないのではないでしょうか。
国は学童で働く放課後児童支援員、その全員が均等に待遇がよくなる施策を考えるべきではないでしょうか。

放課後児童支援員が報われる施策を

平井さんが学童保育の仕事をしていて嬉しいのは、OB・OGの子が今でも遊びに来て、成長した姿を見せてくれること。
そのうれしさで、20年頑張ってこられたそうです。
だからこそ国には、多くの人が支援員の仕事を続けられるよう、待遇を改善してほしいといいます。

国は今後、市町村に補助金を出すだけでなく、放課後児童支援の待遇改善に直接つながる施策を、先導して行うべきではないでしょうか。

文:BS-TBS「噂の!東京マガジン」取材チーム
放送:2023年8月6日(日)午後1:00~1:54

BS-TBS「噂の!東京マガジン」
毎週日曜ひる1:00~1:54 放送中

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