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食べたくなる。飲みたくなる。そんな世界がそこにある。【BS-TBS配信スタッフのドラマ「天狗の台所」レビュー第1話】

秋ドラマの季節になりました!
BS-TBSでは昨夜10月5日(木)から木曜ドラマ23「天狗の台所」がスタート。
公式noteではもはや恒例となった、ドラマ愛あふれるBS-TBS配信スタッフ、岡尾昌幸のレビューをお送りします。
多少のネタバレもございますが、このレビューを事前に読んでも、絶対ドラマは楽しめるはず。
ですが、「絶対に事前に内容は知りたくない!」という方は、第1話をご覧になった後にお読みください。
TVerはこちら!

それでは、本文、始まります。

食べたくなる。飲みたくなる。
そんな世界がそこにある。

一面に広がる青々とした大地。
生い茂る緑の中からひょこっと現れる主人公・飯綱基いづな もとい駒木根葵汰こまぎね きいた)。
オープニングからその美しい映像美に惹かれ、人は大自然の中の要素のひとつに過ぎないことを想起させるカットでした。
このカット、ドラマ内で良く使われるのですが、人が生きる、暮らすというのは自然の中の営みのひとつなんだということをしみじみと感じずにはいられません。

天狗の末裔である飯綱基いづな もとい駒木根葵汰こまぎね きいた)と弟・オン(越山敬達こしやま けいたつ)の兄弟。
オンは両親とともにニューヨークに住む典型的な現代っ子なのですが、オープニングでは、いきなり母親から「うちは烏天狗の末裔で、14歳の1年は隠遁いんとん生活を送らなきゃいけない」と言われます。
そんなこといきなり言われても、普通「は?何言ってんの?」ですよね。
でもだからこそ、オンの気持ちにすっかりシンクロしてドラマに引き込まれていきます。

オンがやってきたのは、オープニングでも登場した、本当に何もない(失礼!)田舎の村。
バス停、住む家、梅の実を分けてくれるおばあさん……見るもの全てが「ザ・田舎」なのですが、これが私にはなんともしっくり来る。
静岡出身で昭和生まれの私。
よくよく考えれば、こんな風景は子どもの頃は当たり前に目にしていました。
つまり、このドラマの舞台は「昭和の世界」なんだと思うのです。
梅の実を氷砂糖とともに瓶詰めにしてシロップを抽出する、これは子どもの頃に私も祖母の手伝いをしたものでした。(ついでに梅干し作りも手伝いました!)

しかし全てが効率化された世界のネイティヴであるオンには納得できません。
そんなオンに基は言います。

どうしてそんなに急ぐ必要がある。
何事も時間はかかるんだ。
自分の都合で考えてはいけない。

「天狗の台所」第1話より

正に生きることの原点にして、今に生きる私たちに一番足りないことを突かれた気がします。
私が子どもの頃はもっと不便で、何をするにもある程度時間がかかり、でもだからこそ一生懸命で、その成果に対してリスペクトがあったように思います。

基とオンが今回作る料理は、梅シロップと水餃子のジェノベーゼソース。
昭和な世界観を感じて来つつ、料理が出てきたときにはいきなり今風だなと(笑)
バジルの葉と松の実をミキサーではなくすり鉢で丁寧に丁寧にすりつぶしてソースを作り、これまた皮から手作りをした餃子を茹でてそれに絡めて食す。
その料理の工程は食材から生命をいただき、自分の糧とするための儀式のようにすら見えます。
それにしても、登場する梅シロップも餃子も、ただただ美味しそうでお腹が減ってくる!

「天狗の台所」というタイトルで、途中で基の背中に羽が生えているシーンまで見ているのに、そういったファンタジー要素よりも、しっくり落ち着く癒やしの時間が流れていく作品。
憧れのスローライフは、今この作品の中にあります!

書いた人:岡尾昌幸(BS-TBS コンテンツ編成局 事業センター コンテンツ事業部)

木曜ドラマ23「天狗の台所」
2023年10月5日スタート
BS-TBS 毎週(木)よる11:00~11:30 
TVer無料配信は放送翌日の正午から

出演:駒木根葵汰 塩野瑛久 越山敬達 / 白鳥晴郎 市村優汰 村山輝星 / 浅茅陽子 本田博太郎 角田晃広(東京03)〔声の出演〕 渡辺真起子 / 原田泰造

原作:田中相『天狗の台所』(講談社「月刊アフタヌーン」連載)
脚本:岨手由貴子、山田能龍、天野千尋、熊本浩武、ナラミハル
監督:⻑島 翔、下田彦太、林田浩川、川井隼人
プロデューサー:鈴木早苗(BS-TBS) 、守澤崇(BS-TBS)、五箇公貴(maroyaka)、向井達矢(ラインバック)
主題歌:「人人」折坂悠太(ORISAKAYUTA)
音楽:VaVa(SUMMIT, Inc.)
製作:BS-TBS maroyaka
制作:ラインバック

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