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どかないお寺が悪いのか?墓地がさえぎって進まない、東京都の道路計画【噂の!東京マガジン「噂の現場」】

東京練馬区で、都によって計画された都市計画道路が、工事開始から18年経っても開通せず、問題になっています。
原因は、道路計画地をさえぎるように建つ、およそ200基の寺の墓地。
住民たちは計画に同意して移転したのに、寺はなぜ移転しないのか。
そもそも都はなぜ、これだけ多くの墓地がある場所に、道路を計画したのでしょうか。


終戦後すぐから約80年…東京都の道路計画の概要

問題の道路は、放射第七号線という東京都の都市計画道路。
千代田区九段を起点とし、練馬区西大泉を終点とする延長約19.3km。
そのうち今回問題になっているのは、大泉学園の町を東西に横断する約2キロの区間です。

計画道路に並行して走る、”したみち通り”は交通量も多く、歩行者と自転車が邪魔者扱いされるぐらい渋滞していて、子どもたちも通学路に使っています。

したみち通りの状況から、放射7号線の道路計画に住民たちも納得。
約200軒が立ち退いています。
ところが、墓地の大半が道路予定地にかかっている寺が、移転に応じていません。

この放射7号線の路線が計画されたのは終戦後すぐの1946年(昭和21年)。
事業開始は18年前の2006年(平成18年)。
東京都建設局は2028年(令和10年)の開設を予定しています。

墓地が分断される…事情をもう少し考慮してほしい…寺の言い分

住民や檀家によると、寺の墓の数は、全部でおよそ200基。
そのうち放射7号線の道路予定地上にあるお墓は、およそ150基。
残る50基は道路予定地の外側。
道路建設によって墓地が分断される可能性があることが問題なのでは、とのことでした。

寺の住職は番組に対し、「都と折衝中のため、カメラの前では話すのは難しい」とのことでしたが、質問には答えてくれました。

住職としては
「移転の方法や条件など、寺の事情をもう少し考慮してほしい」
とのことでした。
「そもそも道路計画の前に墓地は当地にあった。それにも関わらず行政の都合で計画された」
「昭和21年に計画決定されたが、当時の住職(先代)はシベリアで抑留されていて、復員は4年後。当時寺にいたのは夫人と子供だけ。住職不在で移転に合意するとは思えない」
「寺としては、全面移転するにも場所が遠くなってしまうと檀家がお参りに行くのに不便なので、近くで探してほしい」
とのことでした。

墓地が分断されても寺は移転に応じるべきなのか?

ある寺院関係者は、多くの住民の利便性が向上することから、道路計画にかかる墓地の移転について応じるべき、との考えでした。
一方で、実際に墓地の移転を経験した千葉・流山の住職によると、檀家の説得、墓地一基ごとに魂抜き、魂入れなど、住宅の移転とは労力がケタ違い…という経験談が。
100基を順調に移転しても5年かかった…とのことでした。

現在の寺との交渉状況は…東京都の回答

番組の取材に東京都は文書で回答。
「寺の同意が得られないまま、いわば見切り発車で工事を開始したのか」という問いには……
「都市計画道路の整備にあたっては、用地が確保できた箇所から順次工事に着手しています」とのこと。

また「道路にかからないところの墓地、その場所は買収や補償の対象にはなっていないのか」という問いには、「個々の権利者に関することであり、回答を控える」とのこと。

さらに「代替地以外に、墓地のための地下歩道などを作る用意があるのか」という質問には、「墓地の管理に関する質問に対して、回答する立場にありません」とのことでした。                 

寺の事情とこれまでの経緯を踏まえた話し合いを

流山の寺の墓地移転の例を見る限り、全て移転でも一部移転でも、今回の寺が檀家からすべて許可を取り、移転させるのに数年かかるのは必至です。
東京都は、そのあたりの負担も考慮して折衝しているのでしょうか。
東京都は、これまでの経緯の反省も含め、寺が納得できる補償の内容を示して、話し合いを進めるべきではないでしょうか。

文:BS-TBS「噂の!東京マガジン」取材チーム
放送:2024年2月11日(日)午後1:00~1:54

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