忍び寄る恐怖!? 急増するタイヤ脱落事故【噂の!東京マガジン「噂の現場」】
身近な問題を取り上げるコーナー「噂の現場」では、今、全国で急増している大型車のタイヤ脱落事故を取り上げました。
タイヤ脱落事故はこの十数年でおよそ12倍に増え、脱落したタイヤが歩行者や車両にぶつかり死傷者が出る事故も起きています。
なぜタイヤ脱落が増えたのか?
「噂の現場」は、その原因に迫りました。
衝撃映像!防犯カメラが捉えた脱落タイヤ
今年1月12日、群馬県渋川市の国道17号線を走行していた大型トラックの後輪2本が外れ、道路を転がりだしましたが、その衝撃的な瞬間を防犯カメラが捉えていました。
猛スピードで転がっていったタイヤの1本は国道沿いにある会社のフェンスにぶつかり止まりましたが、もう1本は、およそ500メートル転がり、歩道を歩いていた男性にぶつかってしまったのです。
九死に一生!突然タイヤに襲われた歩行者
歩いていて突然タイヤに襲われた男性は、一時意識不明に陥る重症を負いましたが、なんとか一命を取り留めました。
今回、被害者はテレビカメラの前でその瞬間の恐怖を証言してくれました。
ぶつかったタイヤは直径1メートル、重さ100キロ、硬いゴムでできている頑丈なタイヤです。
それが転がってきて突然背後からぶつかってきたのですから、まさに九死に一生でした。
入手!実験映像“脱落タイヤの威力とは”
番組は国土交通省が行った実験映像を入手しました。
それは時速60キロで走行中の大型トラックのタイヤが脱落し、歩行者に見立てた人形に背後からぶつかるという実験映像です。
ぶつかった瞬間、人形は背中側にグニャリと曲がり飛ばされました。
もし生身の人間だったら一溜りもありません。その衝撃は想像を超えるものでした。
脱落はほとんどが左後輪という謎?
大型車でのタイヤ脱落は、なぜか9割以上が左後輪で起きています。
千葉県トラック協会の会長は、左折時にかかるタイヤへの負荷が関係しているのではと推測しています。右折と左折でトラックが曲がる時に描く円を比べると、左側通行の日本では左折の方が小さい円になります。
その分、左後輪への負荷が大きくなり、さらにタイヤに横へずれる力が働くので外れるのではないかというのです。
とはいえ、それは以前からのこと、なぜ急増したのか?
取材を進めると大型車の整備をしている現場から、「規格変更で外れやすくなったのでは?」という声が聞こえてきたのです。
左後輪脱落と規格変更に因果関係?
タイヤ脱落事故が増え始めたのは2011年ですが、実はその前年、2010年に大型車でのタイヤの固定法で規格が変更されているのです。
2010年以前は国内のJIS規格。
それでは左右のタイヤでネジを回転方向と同じ方向に締めて固定していました。
右タイヤはネジを時計回りに左タイヤはネジを反時計回りに締めていたのですが、それは走行中に生まれる遠心力でネジが緩むのを防ぐためだったといいます。
しかし、2010年後は世界基準のISO規格に変更、左右全てのタイヤでネジを時計周りに締めることになったのです。
つまり、左タイヤでは遠心力が作用する反時計周りにネジを締めることになったのです。
そして2011年以降、左後輪でタイヤ脱落事故が増えています。
今のところ、国土交通省はタイヤ脱落と規格変更の因果関係を認めていませんが調査を進めるとしています。
また規格変更を行った日本自動車工業会は、ISO規格でもしっかり整備を行えば安全だとしています。
因果関係は無いのか?
迅速な調査と対策が必要だと番組は考えます。
文:BS-TBS「噂の!東京マガジン」取材チーム
放送日:2022年4月10日(日)午後1:00~1:54
リポーター:山口良一
▽BS-TBS「噂の!東京マガジン」 毎週日曜ひる1:00~1:54 放送中です。
▽「やって!TRY」公式YouTube
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