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一体なぜ?全国各地に出現!蛇口泥棒の怪【噂の!東京マガジン「噂の現場」】

今回は、近年、全国各地で被害が続出している「蛇口泥棒」の問題。
蛇口が盗難される場所は、団地、公園、農地など多岐に渡り、住民は困惑しています。
一体なぜ、蛇口ばかりが盗まれるのか?
知られざるその背景と、被害を食い止める対策を探りました。

公園、団地、農地、文化財収蔵庫…あらゆる場所で、なぜか「蛇口」ばかりが

神奈川県厚木市では、去年半年の間に、9つの公園で30個の蛇口が盗難されました。
盗難されたのは、なんの変哲もない、新品でも2700円程度の蛇口。
また県内の団地では、住宅棟の入り口にある共同の蛇口が、一晩で136個も盗難されました。
そして茨城県では年間1070個のバルブが盗難されるなど、被害は前年の7.6倍、被害額は523万円に上りました。
茨城県では前年から被害が急増しているため、「蛇口をプラスチック製に取り替える」「防犯カメラを設置」「農閑期に蛇口を外す」など県と県警が対策を呼びかけています。
しかしいずれの対策も、「寿命が短い、耐久性が悪い」「広範囲すぎて見張れない」「そもそも数が多すぎて無理」など、事態を改善するほどは、上手くはいっていません。
さらに滋賀県では、去年5月、県が所有する文化財収蔵庫で、蛇口が盗難されました。
職員の人は、当初は、文化財が狙われたと思ったそうですが、犯人の狙いは蛇口。
洗面台を破壊し、24個もの蛇口を、盗んでいったのです。

誰が何のために「蛇口」ばかりを盗むのか?

なぜ蛇口ばかり盗むのか?
農家の方からは、「蛇口に含まれる銅が、高値で買い取られるからでは」との声が…。
調べてみると、コロナ禍での金融緩和の影響で、銅の価格は2年前の2倍以上に高騰していることがわかりました。

疑問…盗難した蛇口でも買い取る業者がいるのか?

しかし、それではなぜ、盗難品を売ることができるのか?
複数の買取業者に電話をしてみたところ、「誰からでも、少量でも買い取る」「買い取りに際し、身分証なども不要」と、盗品の可能性などは気にしない業者がいることが判明しました。
この現状に、関東の同業者組合の理事長も務める田子金属の方は、「一見の客には本人確認することを組合員に義務づけている」「盗難品か確かめず買い取る業者には憤慨している」と語りました。

今後は…金属買い取りに関する根本的な規制が必要なのでは

では、そもそも金属の買取りに際し、業者に資格は必要ないのか。
取材を進めると、衣服や本などは古物とされ、これを買い取る業者は「古物商」の許可を得ることが法律で定められているのに対し、金属くずはなぜか古物から除外されており、法律上は、誰でも許可なく買い取りができることがわかりました。
金属の盗品の売買を防ぐため、条例を定めている自治体もあるものの、全体の3分の1程度…。
業界の歴史に関する著作がある専門家によると、金属の買い取りが法律で規制されないのは、戦後間もない頃の名残ではないか、とのこと。
当時、仕事がない人がスクラップなど金属を回収してしのいでいたのを黙認するため、規制しなかったのでは…とのことでした。
しかし当時から70年以上が経過し、蛇口やバルブを盗まれた団地住民や農家の方は大変な被害を被っています。
今後は古物同様、金属の買い取りについても、法律を定めるなど、根本的な規制が必要ではないでしょうか。

 文:BS-TBS「噂の!東京マガジン」取材チーム
放送日:2022年4月24日(日)午後1:00~1:54
リポーター:笑福亭笑瓶

▽BS-TBS「噂の!東京マガジン」 毎週日曜ひる1:00~1:54 放送中です。

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